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IoT × kintoneによる地域の課題解決を、地元・高知から

株式会社ダンクソフト

高知スマートオフィス チーフディレクター

片岡 幸人 さん


高知県を拠点とするマルチワーカーであり、kintoneやAWSなどのコミュニティ活動も積極的に行う片岡さん。Qiitaなどでの情報発信が注目され、2019年11月からはkintoneエバンジェリストとしての活動を開始しました。今回は、そんな片岡さんのkintoneとの出会いや、地元・高知の課題解決に向けた想いを伺いました。


マルチな働き方をする中、それぞれでの場所でkintoneを活用

現在、東京の企業、高知での起業と町役場での勤務というマルチなワークスタイルを実現する片岡さん。まずは、それぞれのお仕事の内容について伺いました。

「3つの軸があって、1つ目は東京のソフトウェア会社である株式会社ダンクソフトに、自宅を兼ねた高知サテライトオフィスから、フルリモートで勤務しています。一番時間を割いているのがこの仕事で、kintoneをベースとした開発やコンサルティングをしています。2つ目が、個人で経営する株式会社ソフトビレッジの経営です。IT技術で地元・高知の課題を解決していくことをミッションとしており、創業して13年になります。kintoneももちろん絡んでいて、IoTの計測データ管理に活用していたり、他にもドローンを飛ばして地元の川の映像を流したり、好きなことを仕事にしている感じです。そして3つ目が、高知県佐川町役場でのICTアドバイザーとしての勤務です。週に1日、約2年半前から勤務していて、働き方改革のサポートなどをしています。これら全てのマルチワークで、kintoneを活用しています


kintoneに最初出会ったとき、正直すぐには使えないなと思った


片岡さんのkintoneとの出会いのきっかけは、サイボウズ社長室フェローの野水からの紹介だったそうです。まずは当時の第一印象を伺いました。

「kintone自体は、『サイボウズがカード型でクラウドベースの製品をだしたらしい』ということで、リリース直後から存在は知っていました。ちょうどその頃、千葉県で行われた農業×IT関連のイベントでたまたまサイボウズの野水さんと出会いkintoneについて話を聞きましたが、当時は正直まだまだ使えそうにないなと思っていました。しかし、その後APIが出始めた頃、もう一度野水さんから話を聞く機会があったんです。それがきっかけでちょっと使ってみようかなと思うようになったのが、今から約6年前のことです。」

現在では普段のビジネスに加え、kintoneエバンジェリストとしても積極的にkintoneについて情報を発信するまでに至る片岡さん。そんな片岡さんの感じるkintoneの魅力のひとつは、インターフェイスとして自分で1から構築しなくて良いところにあると語ります。APIでデータを裏側から入れることで、とりあえずフロントエンドは決まった形で、すぐに使えるプラットフォームができあがる。フル装備でサービス開発した経験がこれまで何度もあったそうですが、当時に比べて余計な時間と工数をかなり削減することができるようになったそうです。

「具体的な経験でいうと、長年向き合っている農業のIoT化の部分でこのメリットを感じています。というのも、農家さんによって要件がそれぞれ変わってくるので、固定でサービスを作ってしまうとどうしても個々の要件に応じることができないというジレンマがありました。それがkintoneであれば、裏側からデータを投げ込むときに少し注意すれば、様式とか見せ方は柔軟に変えられる。ここが、kintoneに可能性を感じた最初の入り口でした」

高知が抱える課題は、ゆくゆく日本が向き合うことになる課題

農業のIoT化は、片岡さんの掲げる「ITで地元・高知の課題を解決する」というミッションに直結する部分です。そもそもここでいう「課題」とは、大きく分けて2つの側面があると語ります。

1つ目が、産業の先細りです。高知県は今人口がどんどん減っていますし、私の故郷の仁淀川町の高齢化率は、2015年時点で50%を超えています。(参考:「地域医療情報システム」より)そんな中で産業を支えていくには、IoTやロボットなどのツールを活用していく必要があります。もう1つは、福祉面です。高知は今、“生活できる状態”をいかに維持していくかという問題に直面しています。限界集落という言葉があるように、人が生活できる集落を守ること自体がどんどん難しくなっており、そういった場所で暮らす方たちをどう見守っていくかというのは大きな課題です。そして今高知県が抱える課題は、近い将来日本全体が抱える課題になっていきます。だからこそ、向き合う価値のあるものだと思っています」

自分が暮らすことを決めた土地だからこそ、真摯に向き合いたい


キーワードは「地元」と語るほど、高知への愛を感じさせる片岡さん。しかし、もともとは地元が大嫌いだったという過去があったそうです。

「次男だったということもあって地元への愛着は全く無く、大学から高知を離れていました。しかし、ちょうど転職を検討していたことと、親孝行で一回受けてみた役場の試験に受かったことが重なり、高知にUターン。ただ、帰ってきてみても何も変わっていない田舎の悪い部分ばかりみえてさらにがっかり。こんな田舎また逃げ出してやる、という考えがよぎったこともありますが、逆にそれが悔しくて(笑)反骨精神みたいな感じで、地元に向き合うようになりました。カツオなどの豊富な食に日本酒が美味く、過ごしやすい気候ですし今ではこの土地がとても好きなので、この先もずっとここで生きて行こうと思っています。そう決めると、やはり自分の暮らす土地を大切にしたいので、そんな想いで地元の課題に向き合っていますね」


使う人に負荷をかけない、シンプルなシステムの構築


片岡さんは、一言に「地元の課題解決」といっても、水田の水位管理・一人暮らしの高齢者の見守り・町の防災システムなど、ここでは挙げきれないほど様々な形のソリューションを提案しています。ITで地元の課題解決にとりくむ中で、大切にしているポイントを伺いました。

「使う方に負荷をかけない、という点を忘れないようにしています。たとえば、現場に機材を設置するときに電源をどう確保するか、とか、インターネットの接続環境をどうするか、とか。せっかくkintoneで楽にデータを管理できるようになったり通知を受け取れるようになったりしても、その他の部分で負担をかけていたら意味がないですよね。最近は、原点回帰してなるべくシンプルなデバイスでkintoneと連携できないかなとも思っています。例えば最近Qiitaで公開したものでいうと、SORACOMのシンプルなボタンで、冷蔵庫の開閉データから高齢者の生活を見守るシステムなんかがそれにあたります。先ほど高齢化率の部分で触れた仁淀川町に現在も母が1人で暮らしているので、見守りのためのシステムとして実際に試験的運用をしている段階です」

SORACOM LTE-M Button Plus と kintone で高齢者を見守るシステムの試作:https://qiita.com/yukataoka/items/4eb48bcbc8890b5b2277


最後に、今後の活動の展望について伺いました。

「高知ではkintoneの使用率が低いので、kintoneを上手く活用したモデルケースを増やしていきたいです。特に福祉関係方面には、もっと情報をオープンにしてアプローチをしていきたいですね。現在の高知の状況では使えるツールをどんどん活用していく必要性がありますが、この支援もkintone導入以前の段階から丁寧にサポートしていかなければならないので生半可な覚悟では寄り添いきれません。しかし今は課題解決の意識を広める意味でも、一つでも多くの活用モデルを作っていかなければいけない段階なので、大変なことも多いですが続けていかなければと思っています。とはいっても、深く考えてすぎてもなかなかモチベーション高く続けられないので(笑)自分のやりたいことをkintoneで実現しつづけるというスタンスは継続しながら、今後も活動していきたいです。」

片岡さん、ありがとうございました!

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